計測・制御機器メーカーの国内最大手である横河電機株式会社 代表取締役社長 奈良 寿(なら ひとし)氏に、横河電機の社内オペレーションの最適化を目的とした組織変革、および社員のマインドチェンジへの取り組みについてお伺いしました。
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1. 中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の基本戦略の一つに、「社内オペレーションの最適化とマインドセットの変革」が掲げられています。どのような社内変革に取り組んでいますか。
一例ではありますが、少し前に、新事業開発、R&D、マーケティングコミュニケーション、工業デザイン、アライアンス、知財戦略など、長期目線での戦略推進を担う機能を「マーケティング本部」という組織に集約しました。この組織変更により、スピード感と情報発信力が変わりましたし、オープンイノベーションがスムーズに進むなどの効果が出ています。R&Dは事業部にもありますが、マーケティング本部が長期的な視点で必要な技術の検討や開発を行い、事業部では分野別に現在の事業のための研究に集中するというすみ分けができています。また、マーケティング本部は、対外窓口だけでなく、社内各部署をつなぐ役割も果たしています。コーポレートと現場との距離が縮まり、数百人を集めてのイノベーションイベントなども開催できるようになりました。
コーポレート部門に関しては、社内のお客様である各事業部にいかに貢献するかが課題となっていました。そこで、パートナーサーベイという社内調査を定期的に実施し、各事業部がコーポレート部門を評価する取り組みも行っています。このような変革を進める取り組みをさらに強化していきます
2. 社員の働きやすさやエンゲージメント向上の面ではいかがでしょうか。
若手社員の活躍を後押ししていきたいと考えています。社内副業制度があるのですが、公募に対し、昨年は20人もの社員が手を挙げてくれました。関与割合に応じて評価をすると、副業先の新事業の評価が高くなるというのは面白いですね。副業をすると、経験の幅や人脈が広がりますから、自己実現の機会も増えます。
例えば、若手が中心となって進めている「未来共創イニシアチブ」という活動がありますが、ここではメンバーが自ら未来のシナリオを構想し、社会的課題解決に向けたイノベーションにつなげようとしています。若手が自発的に活動をすることはとても素晴らしく、そうしたことが当たり前に行われる企業でありたいと考えています。
女性社員に活躍をしてもらうための施策にも力を入れており、女性活躍のための研修や、30~40人の女性社員がキャリアについて話し合うパネルディスカッションを開催するようなこともしています。こうした取り組みを通じて女性のマネジャー比率は増加しており、今年は女性の執行役員を2名選任しました。
これらのように多様な人が多様なキャリアを描ける企業に変わってきていることは、会社が成長するうえでとても良いことだと思っています。そして社員全員が、社内の人たちだけでなく社外の多様な人たちとつながり、広い知見を得ることが重要です。ビジネス環境が違う中で、社外の知見をそのまま取り入れることができないことも多いですが、柔軟に取り入れていくことが自分たちのビジネスのイノベーションにもつながります。
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