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【第3回】「暮らしの隙間」に趣味を見つける

  • 特集 2022年6月 6日
  • イノベーション・ラボラトリ株式会社 代表取締役  
    横田 幸信氏
【第3回】「暮らしの隙間」に趣味を見つける

【連載メインテーマ】新型コロナを経験した私たちの価値観変化と未来社会の洞察

 

i.labでは、 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって私たちの日常が中長期的にどのように性質変化するのか、社内研究プロジェクトとして未来社会の考察を行ってきました。

 

i.labは、社会や経営の課題に対して、創造的な成果物を生み出すための思考方法やプロセスを設計し推進することを得意としています。連載第3回となる本稿では、未来社会の考察により見えてきた、具体的なトピック「趣味」に関する人々の価値観・行動変化についてご紹介します。

目次
  1. 在宅勤務者が増え、仕事と生活の両面で、気持ちの切り替えとリフレッシュの存在感が増している
  2. 日常生活のルーティンの中にある「隙間」で気持ちを切り替える
  3. 暮らしの隙間の品質を高めるだけではなく、そこからの奥行きに事業機会がある
  4. 本シリーズでは、五つの未来社会シナリオを紹介

1. 在宅勤務者が増え、仕事と生活の両面で、気持ちの切り替えとリフレッシュの存在感が増している

通勤や顧客との直接の打ち合わせ機会が大きく減り、移動時間もなくなりました。これまでは、人によってはできるだけ減らしたいと感じていたかもしれない、移動時間や場所の移り変わり機会の持っていた意味について、改めて気づかされました。それらが、思考と気持ち、身体のリフレッシュの機能を持っていたということです。

 

また、オンラインでの打ち合わせのスケジュールが組まれるようになると、移動時間が考慮されなくなり、13時から14時まで、その次は14時から15時までと、理論上は1秒の隙間もない予定で打ち合わせ依頼が入るようになりました。

 

そうした状況の中で、私たちは、リフレッシュの機会をこれまでとは異なる形で持つことが求められるようになっています。仕事の中でのリフレッシュができないと、仕事品質のみならず、仕事との距離が近くなった生活の品質も下がるため、その重要性はなおさらです。

2. 日常生活のルーティンの中にある「隙間」で気持ちを切り替える

これまでは、日中の仕事時間と夜間の自由時間、平日の仕事と週末の自由時間、のように区分がはっきりしていました。

これまで、気持ちの切り替えやリフレッシュを目的とした際に人気だったのは、旅行やエンターテインメントなど、「非日常性」をつくり、演出し、強度の高い体験としてエンドユーザーに機会提供することでした。

 

これからの、気持ちの切り替えやリフレッシュは、区分がはっきりしない、日々の暮らしの中に見つけていくことに機会があります。私はそれを「暮らしの隙間」と呼んでいます。

暮らしの隙間は、時間かもしれませんし、場所かもしれませんし、家具や消耗品かもしれません。今まで、あまりにも日常的すぎて見過ごしていた物や空間、時間のあり方に新しい可能性を感じています。

 

例えば、朝ごはんで毎日食べているパンを、スーパーで購入するのではなく、自宅で作り楽しむ生活者が増えているそうです。他にも、ダイニングテーブルを今までの樹脂製のものからウォールナットの無垢材のものへと買い替える、入浴時は短時間のシャワーで済ませていたのを1時間つかって湯船と冷水シャワーを繰り返す温冷交代浴にする等も似た事例と言えます。これらに共通しているのは、これまでの暮らしのルーティンの中で、少しずつ質を高めるモノや体験である点です。

 

生活者の価値観・行動変化として注目すべきは、気持ちの切り替えやリフレッシュを非日常性に求めているのではなく、日常性の中に既に存在していた隙間に求めるようになったことです。

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