新卒以来、リクルートや採用系スタートアップの役員としてのご経験から、ご自身の「志」の下に社会に変革をもたらす経営者・リーダーをプロデュースする経営者JPを創業された株式会社 経営者JPの代表取締役社長・CEO 井上和幸様に、今の製造業が直面する課題を解決するリーダー人材・組織づくりについてお話を伺いました。
今回は組織変革について、より深掘りします。前回取り上げたゲームチェンジのために必要な組織変革のほか、最近話題のジョブ型雇用に対する井上様のお考えを詳しく伺います。
1. ゲームチェンジには組織文化の変革が必要
もう一つ大きな変化として、特に日本は少子高齢化が進み、労働人口のうち特に若い世代が少なくなっており、今はベテランの方を延長して雇用しています。最近は働き方改革や人的資本経営といったキーワードも出てきたりしていますが、製造業はうまく対応できているのか、井上様の視点で教えてください。
既存の製造業界はいろいろと努力されていると思いますし、変わろうという動きはあると思います。
ただ、客観的に見るとあまり大きく変わらなさそうだとも思います。それは、以前お話ししたような、既存の延長線上の中で一生懸命に磨き上げようとしている中で、その慣性力により変化に向けた動きがどうしても停滞してしまっていることが要因かと思います。
一方で製造業の周辺では、製造業でDXを推進していくことを「不の解決」として掲げているスタートアップが非常に増えています。こうした企業が業界全体の業務やサービス提供、生産の仕方を大きく変えてくれそうだと感じています。
既存の大手製造業は、先ほどのようなキーワードを知った上で取り組んでいるように見えますが、なかなかその本質的を捉えて変化できていない、ということでしょうか。
全体でいうとそんなふうに感じます。
特にできていなさそうだと感じることは、やはりゲームチェンジだと思います。ゲームチェンジはあくまで目的ではなく手段ですが、大企業のそもそものパラダイムを変えないと、次に行けないと感じます。リクルートも紙メディアからインターネットへ移行するのは苦労しましたから。
今いる人材を活かして価値を出したり、皆さんが生き生き働いたり、というのが人的資本経営かと思いますが、ゲームチェンジのためには今のビジネスに対して足りない人を採用するだけでなく、今までとは全く異なる多様性を見つける必要があるのでしょうか。あるいは、組織や文化といったところが弱いのでしょうか。
人や組織の側面であればその通りで、例えば変化を歓迎する風土かどうか、ということは確かに関係があるかもしれませんね。組織で培われたDNAやカルチャーが変化に対するブレーキとなることもあれば、コミュニケーションや意思決定において変化に対して否定的であると、変わらないですよね。
2. 間違いだらけの「ジョブ型雇用」議論
人材関連のトピックとして、最近ではジョブ型雇用を採用しているような大企業さんも多いと思います。こちらはどのように見えてらっしゃいますか。
思うところはいろいろあり、他の記事で書いたこともありますが…ジョブ型雇用についての議論はかなり間違っている話が多く、私は引いた目で見ています。昨年か一昨年頃から出てきた言葉ですが、このままでは来年頃には下火になっていると思いますよ。
2000年前後だったか、かつて成果主義という考え方がはやりました。導入した会社は多く、学べたことはあったかと思いますが、みんな失敗しました。当時も「これが次の時代の考え方だ」「欧米はこうやっている」などいわれていましたが、今のジョブ型雇用も同じような話をされているように感じます。
あえてジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用で考えるのであれば、若手から中堅に入る頃までは、やはりメンバーシップ型が望ましいと思います。
一部の専門的な知識を身に付けている方はジョブ型雇用で問題ないかもしれませんが、全体的には大学や専門学校から入ってくることが多く、ポテンシャリティで入社します。そこでジョブの前提となる経験もないのにジョブ型雇用での働き方はできない、ということが挙げられます。
また、幹部系の採用に関しては、今でも既にそもそも全部ジョブ型雇用です。
経理財務のエキスパートや人事のマネジャーなど、その方の専門的なところでアサインしていますから、大体どの会社もジョブ型雇用になっています。
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